2016年ポスター
握り鮨の誕生については諸説あり、文政の時代(1800年代初頭)に両国にあった「與兵衛ずし」が始めたという説が有力だと考えられています。
当時は、現在のような交通手段も冷蔵庫や冷凍庫もありません。魚が新鮮なうちに「締める」「煮る」「漬ける」などを施し、魚をできるだけ長く、美味しく食べられるように工夫しました。これらの工夫は、魚をより美味しくする「握りの技」として現在に受け継がれ、コハダ、アナゴ、ヅケ(マグロ赤身)に代表されています。
この「握りの技」で、鮭児・キンキ・ホッキ貝・真ツブ貝・ボタンエビ・毛蟹など野趣あふれる北海道の魚介の旨みを最大限に引き出し、旨味がピークが達した瞬間に召し上がっていただく。これが北海道鮨商生活衛生同業組合が目指す『蝦夷前』の握り鮨です。
私たち北海道の鮨職人も、江戸時代から続く伝統の延長線上に立っています。
鮨の歴史|全国すし商生活衛生同業組合連合会 北海道のさかな|北海道漁業協同組合連合会(北海道ぎょれん)
コハダ
コハダは握り鮨を代表する伝統的な鮨ダネです。開いて塩をあて、酢で締めて、寝かせて仕上がりを見極めます。一様に仕込んでも大きさ・脂のり・鮮度によって味が変わるため、十分な経験と勘が必要です。店の味や格をはかるとき、「光りもの」を食べるとわかるという物差しがあります。
アナゴ
「光りもの」と並んで重要な位置を占める「煮もの」の代表格はアナゴ。開いて煮含めたアナゴを鮨に握り、煮ツメ(アナゴの煮汁を煮詰めて作る甘辛いタレ)を塗って完成させます。手間をかけて仕込む「煮もの」は店ごとに個性があります。
ヅケ
最近は「どれだけ良いマグロを使っているかが店の格を決める」と言われるまでになったマグロですが、江戸時代は大衆魚のひとつでした。握り鮨に使われたのは、脂が少なく傷みにくい赤身。日持ちさせるために、煮キリ醤油(みりん・酒などを合わせて煮切ったタレ)に浸してから握られました。この工夫がマグロの熟成を促し、うま味の相乗効果を生み出しています。
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